「社会人になって何年もたつけれど、今から看護師をめざすことはできるだろうか」
看護師という仕事に関心を持ったとき、最初に気になるのは、この点ではないでしょうか。
結論からいえば、社会人になってから看護師をめざすことはできます。
実際、厚生労働省も、大学や短大を卒業した人、社会人経験のある人が看護師資格取得をめざすことを想定し、看護師学校養成所への入学を案内しています。
ただし、「社会人でも受験できる」と「自分が実際に看護師になれる」は、同じ意味ではありません。
看護師になるためには、学校に合格するだけでなく、必要な教育を受け、卒業し、看護師国家試験に合格するところまで進む必要があります。
そのため、社会人から看護師をめざすときには、
受験できるか
だけではなく、
入学後も通い続けられるか
まで考えておくことが大切です。
このページでは、社会人から看護師をめざすときに、最初に何を確認し、どのような順番で準備すればよいのかを整理します。
社会人からでも看護師をめざせる
看護師になるための進路は、高校卒業後すぐに看護系の学校へ進学する人だけを対象にしたものではありません。
社会人経験を経てから看護師をめざす人もいます。
厚生労働省の看護教育ポータルでも、「大学を卒業した人や社会人経験のある人」が看護師学校養成所へ入学することを想定した情報が提供されています。
ですから、
「高校を卒業してから何年もたっている」
「すでに別の仕事をしている」
「大学では看護とは関係のない分野を学んだ」
ということだけで、看護師になる道が閉ざされるわけではありません。
一方で、
「社会人だから大丈夫」
「○歳までなら大丈夫」
と一律にいうこともできません。
学校によって入試方式や出願資格は異なります。また、現在の学力、通学できる地域、仕事や家庭との関係、経済面など、一人ひとり条件が違うからです。
したがって、年齢だけを見て「できる」「できない」と判断するより、自分の場合に何が必要なのかを一つずつ確認することから始めましょう。
看護師になるまでの道筋を知る
看護師は国家資格です。
看護師になるには、看護師国家試験の受験資格につながる教育課程を修了し、国家試験に合格して免許を取得する必要があります。
2026年8月現在、看護師国家試験の受験資格には、指定された大学で必要な学科を修めて卒業する場合や、指定された学校で3年以上必要な学科を修める場合、指定された看護師養成所を卒業する場合などがあります。
ここで重要なのは、看護師になるルートは一つではないということです。
ただし、このページでは制度の細かな違いまでは説明しません。
まず、
看護師になるには、国家試験を受けるために必要な看護教育を受ける必要がある。
という全体像を理解しておけば十分です。
どのような進路があるのかは、次のページで詳しく確認してください。
大学か専門学校かを考える
社会人から看護師をめざそうとすると、
「大学へ行くべきだろうか」
「専門学校の方が早いのではないか」
という疑問が出てきます。
これは重要な選択ですが、単純に、
大学の方がよい
あるいは、
社会人なら専門学校の方がよい
と決めることはできません。
修業期間、費用、教育内容、取得できる学位・称号、その後の進路などに違いがあります。
また、社会人にとっては、それに加えて、
- 何年間通うことになるのか
- 通学できる場所にあるか
- 仕事や家庭との調整が可能か
- 自分が受験できる入試があるか
といった現実的な条件も重要になります。
大学と専門学校という「学校種」の違いについては、別ページで比較します。
「入れる学校」ではなく「通い続けられる学校」を考える
看護学校を探し始めると、
「どこなら合格できそうか」
に目が向きやすくなります。
もちろん、合格可能性は重要です。
しかし、社会人の学校選びでは、それだけでは足りません。
看護師になるためには、入学した後、必要な授業や実習を受け、卒業する必要があります。
そのため、候補校を考えるときには、少なくとも次のような点を確認する必要があります。
- 自宅から通えるか
- 何年間通うのか
- 学費等を負担できるか
- 在学中の生活を維持できるか
- 仕事をどうするか
- 家庭との調整が可能か
- どのような入試を受けることになるか
この段階で、それぞれについて詳細な答えを出す必要はありません。
大切なのは、
受験に合格できるかだけでなく、卒業まで続けられるかも確認する必要がある
と知っておくことです。
学費や仕事との両立については、後のページで詳しく扱います。
具体的な候補校をどのように探し、比較すればよいかは、
で説明します。
社会人だから社会人選抜とは限らない
看護学校を調べていると、「社会人選抜」「社会人入試」といった言葉を目にすることがあります。
ここで、
社会人なのだから、社会人選抜を受ければよい。
とすぐに決めない方がよいでしょう。
看護学校の入試には複数の方式があり、名称、出願資格、試験科目、選考方法などは学校によって異なります。
社会人でも一般選抜を受験できる場合がありますし、社会人を対象とした選抜を設けていない学校もあります。
反対に、社会人選抜があったとしても、出願資格を満たしているとは限りません。
したがって、
- 候補となる学校を探す
- 最新の募集要項を確認する
- 自分が利用できる入試方式を確認する
- それぞれの試験内容を比較する
という順番で考えます。
入試方式については、
で全体像を整理します。
受験勉強は、志望校の入試を確認してから始める
社会人から看護学校をめざそうと思うと、
「高校の数学を忘れてしまった」
「英語を何年も勉強していない」
「全部やり直さなければ」
と不安になるかもしれません。
しかし、まだ志望校も入試科目も分からない段階で、高校の勉強をすべて最初からやり直す必要はありません。
学校によって入試科目は違います。
まず候補校の募集要項を見て、
何が試験に必要なのか
を確認します。
そのうえで過去問などを見て、
今の自分がどこまでできるのか
を確認します。
そして、
必要なところを必要なところまで学び直す。
これが社会人の受験勉強の基本です。
何年も勉強から離れている人の具体的な始め方は、
で詳しく説明します。
社会人だからこそ、「なぜ今、看護師なのか」を考える
社会人の看護学校受験では、学力だけではなく、自分自身の進路について考えることも重要です。
例えば、
- なぜ看護師になりたいのか
- なぜ今、看護師をめざすのか
- なぜその学校なのか
- 看護師になった後、どのように働きたいのか
といった問いです。
社会人であれば、これまで働いてきた経験があります。
しかし、
社会人経験があること自体が志望理由になるわけではありません。
これまでの経験を通して何を考え、なぜ看護師という進路を選ぶようになったのかを、自分の言葉で整理する必要があります。
これは願書を書くためだけの作業ではありません。
本当に看護師をめざすのかを自分自身で確認する作業でもあります。
で、この点を具体的に整理します。
最初からすべてを決める必要はない
ここまで読むと、
「確認しなければならないことが多い」
と感じるかもしれません。
しかし、最初から全部を決める必要はありません。
まずは次の順番で進めれば十分です。
1 看護師になる道筋を知る
どのような進路があるのかを確認します。
2 大学と専門学校の違いを知る
自分がどの学校種を候補にするか考えます。
3 通える範囲で候補校を探す
最初から1校に絞る必要はありません。
4 候補校の入試を確認する
最新の募集要項を確認します。
5 必要な受験準備を始める
入試科目と現在の学力の差を確認します。
6 看護師をめざす理由を整理する
受験のためだけではなく、自分自身の進路として考えます。
この順番で進めると、
「何となく看護師になりたい」
という段階から、
「自分の場合は、この学校を、この入試でめざしてみよう」
という具体的な計画へ進むことができます。
社会人から看護師をめざすときに大切なこと
社会人から看護師をめざすとき、大切なのは、
年齢だけで可能性を判断しないこと。
そして同時に、
「なりたい」という気持ちだけで進めないこと。
です。
看護師になるには、
- どのルートを選ぶか
- どの学校に通うか
- どの入試を受けるか
- 何を勉強するか
- 学費や生活をどうするか
- 入学後も学び続けられるか
を一つずつ具体化していく必要があります。
社会人には、仕事や家庭など、高校生とは異なる条件があります。
一方で、これまでに仕事や生活の中で経験してきたこともあります。
必要なのは、それらを「有利」「不利」と単純に考えることではなく、自分の条件を確認したうえで、実行可能な進路をつくることです。
最初の一歩として、まず看護師になるための進路そのものを確認してみましょう。
→ 次に読む:「看護師になるためのルート」