社会人から看護師をめざすとき、
「大学と専門学校のどちらを選べばよいのか」
は、多くの人が迷うところです。
「大学の方が将来有利なのではないか」
「専門学校の方が短期間で看護師になれるのではないか」
と考えるかもしれません。
しかし、どちらがよいかを一律に決めることはできません。
看護大学と看護専門学校では、修業期間、教育の特徴、卒業時に得られる学位・称号、費用、その後の進路などに違いがあります。
社会人の場合は、それに加えて、
- 何年間通うことになるのか
- 学費や生活を維持できるか
- 自分が受験できる入試があるか
- 仕事や家庭との調整が可能か
といった条件も重要になります。
このページでは、個別の学校を比較するのではなく、「大学」と「専門学校」という学校種の違いを整理します。
どちらからでも看護師をめざすことができる
まず確認しておきたいのは、
看護大学からでも、看護専門学校などの3年以上の看護師養成課程からでも、所定の課程を修了すれば看護師国家試験の受験資格につながる
ということです。
厚生労働省が示す看護師国家試験の受験資格には、指定された大学で必要な学科を修めて卒業する場合と、指定された学校で3年以上必要な学科を修める場合、指定された看護師養成所を卒業する場合などが含まれています。
したがって、
大学を卒業しないと看護師になれない
わけではありません。
逆に、
国家試験を受けられるなら、大学でも専門学校でも同じ
と考えるのも早計です。
看護師資格につながるという点は共通していても、そこでどのように学ぶか、何年間学ぶか、その後どのような進路を考えやすいかには違いがあります。
看護大学と看護専門学校の違いを大きく比較する
最初に全体像を整理してみましょう。
| 比較項目 | 看護大学 | 看護専門学校 |
|---|---|---|
| 修業期間 | 原則4年 | 主に3年 |
| 教育 | 看護専門教育に加え、大学として幅広い教育を受ける | 看護師養成に必要な専門教育を中心に学ぶ |
| 卒業時 | 学士の学位 | 課程によって専門士などの称号 |
| 費用 | 学校により異なる。4年間の総費用を確認 | 学校により異なる。3年間の総費用を確認 |
| その後の進路 | 大学院進学なども視野に入りやすい | 就職のほか、条件に応じて進学の道もある |
| 社会人が確認したい点 | 4年間通えるか | 短い期間に密度の高い学習・実習を継続できるか |
この表は一般的な違いを整理したものです。
実際には、大学によっても専門学校によっても、入試、学費、教育内容、学生支援などは異なります。
したがって、この表だけで学校を決めるのではなく、まず学校種の特徴を理解するための比較として使ってください。
修業期間は大学4年、専門学校は主に3年
最も分かりやすい違いは修業期間です。
看護系の4年制大学では、原則として4年間学びます。
一方、看護専門学校には3年間の看護師養成課程が多くあります。
そのため、
できるだけ早く看護師になりたいから専門学校
と考えるのは自然です。
社会人にとって1年の違いは小さくありません。
1年間長く通うことになれば、学費だけでなく、生活費や就労との関係にも影響します。
ただし、
3年なら楽で、4年なら大変
という意味ではありません。
3年間の課程では、限られた期間の中で講義、演習、臨地実習などを進めることになります。
重要なのは、
1年短いかどうか
だけではなく、
その期間、自分が実際に学び続けられるか
です。
具体的な通学条件や生活との両立については、個別の学校を選ぶ段階で確認します。
大学では、看護以外の学びも含めた教育を受ける
大学では、看護師になるための専門教育だけでなく、大学教育としての教養科目や関連分野も学びます。
看護だけを短期間で学ぶというより、
看護を専門として学びながら、より広い大学教育も受ける
という性格があります。
また、大学卒業者には学士の学位が授与されます。
将来、大学院への進学などを考える場合には、この点も一つの違いになります。
ただし、
幅広く学べるから大学の方が優れている
という話ではありません。
社会人が看護師になることを第一の目的としている場合、大学で4年間学ぶことの意味を、自分の将来像と照らして考える必要があります。
専門学校では、看護師養成を中心に学ぶ
看護専門学校では、看護師になるために必要な知識・技術を中心とした教育を受けます。
3年間の課程であれば、大学より1年短い期間で看護師国家試験の受験資格につながる課程を修了できる可能性があります。
社会人にとって、
- できるだけ早く資格取得をめざしたい
- 在学期間を短くしたい
- 看護師になるための学習に集中したい
という条件に合うことがあります。
一方で、
専門学校だから必ず社会人に向いている
とは限りません。
3年間で必要な教育を修了するため、時間割や実習の負担が軽いとは限らないからです。
学校によって教育内容や学習環境も違います。
専門学校という学校種だけを見て判断せず、最終的には具体的な学校を確認する必要があります。
「学士」と「専門士」は同じものではない
大学と専門学校では、卒業時に得られるものにも違いがあります。
4年制大学を卒業すると、大学から学士の学位が授与されます。
一方、専門学校については、一定の要件を満たし文部科学大臣が認めた課程の修了者に専門士の称号が付与されます。文部科学省は、専門士について、修業年限2年以上などの要件を満たす専門学校の課程を対象としています。
ここで注意したいのは、
学士は学位、専門士は称号であり、同じものではない
という点です。
ただし、社会人が看護学校を選ぶときに、
学士があるから大学が必ず正解
ともいえません。
将来どのような進路を考えているかによって、この違いの重要性も変わります。
保健師・助産師など、その後の進路も確認する
看護師資格を取得した後、
- 保健師
- 助産師
- 大学院進学
などを考えている場合には、その学校でどのような進路につながるのかも確認しておく必要があります。
大学によっては、看護師以外の国家試験受験資格につながる課程を設けている場合があります。
一方、すべての看護大学で同じ資格を取得できるわけではありません。
専門学校を卒業した後にも、別の教育課程へ進む道があります。
したがって、
大学なら保健師や助産師になれる
専門学校ならなれない
という単純な区別はしない方がよいでしょう。
最終的には、自分が候補にする学校の教育課程を確認する必要があります。
学費は「大学か専門学校か」だけでは決まらない
一般に、4年間通う大学と3年間通う専門学校では、在学期間の違いがあります。
そのため、社会人にとって費用は重要な比較項目です。
しかし、
専門学校なら必ず安い
大学なら必ず高い
と一律にはいえません。
国公立か私立か、学校ごとの授業料や諸経費などによって差があります。
さらに社会人の場合、
- 通学費
- 教材等の費用
- 在学中の収入
- 生活費
なども関係します。
ここでは、具体的な金額比較までは行いません。
学校種だけで費用を決めつけず、候補校ごとに卒業までに必要な費用を確認する
という点を押さえておけば十分です。
学費については「看護学校の学費はいくらかかる?」で、学費以外も含めた卒業までの費用については「看護学校に3〜4年間通うと総額いくらかかる?」で詳しく整理しています。
就職は「大学卒か専門学校卒か」だけで決まらない
学校を選ぶとき、
大学を卒業した方が就職に有利なのではないか
という点も気になるでしょう。
しかし、看護師の就職について、大学卒か専門学校卒かという学校種だけで単純に優劣をつけるのは適切ではありません。
採用条件や給与制度は医療機関等によって異なります。
また、本人がどのような職場で、どのように働きたいのかによっても、学校選びで重視する点は変わります。
したがって、
「就職に有利そうだから大学」
あるいは、
「看護師免許は同じだから専門学校で十分」
と決めるのではなく、自分の将来像まで含めて考える必要があります。
社会人が特に考えたいのは「どちらなら続けられるか」
社会人から看護師をめざす場合、大学と専門学校の比較では、
どちらが上か
ではなく、
自分はどちらなら現実的に学び続けられるか
という視点が重要です。
例えば、
看護大学を候補にしやすい場合
- 4年間の就学期間を確保できる
- 大学教育として幅広く学びたい
- 学士の取得を重視している
- 将来の大学院進学なども視野に入れている
- 候補となる大学が通学可能な範囲にある
看護専門学校を候補にしやすい場合
- 3年間の課程を中心に検討したい
- 看護師になるための専門教育を中心に学びたい
- 在学期間をできるだけ短くしたい
- 通学可能な場所に適した専門学校がある
といった違いがあります。
ただし、これは「大学向き」「専門学校向き」を判定するチェックリストではありません。
同じ学校種でも、学校によって条件は大きく異なります。
最後は「大学か専門学校か」から「どの学校か」へ進む
ここまでの比較で重要なのは、
大学と専門学校には違いがあるが、どちらが一律に優れているわけではない
ということです。
社会人であれば、
- 修業期間
- 教育の特徴
- 学位・称号
- 費用
- その後の進路
を比較しながら、自分がどちらを候補にするか考えます。
しかし、ここで決められるのはあくまで、
大学を中心に探すか
専門学校も含めて探すか
という大きな方向性です。
実際に受験する学校を決めるには、
- 通えるか
- 学費を負担できるか
- どのような入試があるか
- 受験科目は何か
- どのような教育を行っているか
などを、学校ごとに比較する必要があります。
次は、具体的な候補校をどのように探し、比較すればよいのかを整理します。
→ 次に読む:「自分に合った看護学校の選び方」
(制度情報確認:2026年8月)