看護学校の入試では、面接が行われることがあります。

社会人受験者にとって、面接は不安を感じやすい試験の一つでしょう。

何を聞かれるのか分からない

うまく答えられなかったらどうしよう

社会人なのに受け答えが下手だと思われないだろうか

などと考えるかもしれません。

そこで、想定質問と模範回答を集めて、答えを覚えようとする人もいます。

しかし、面接対策で最も重要なのは、

「正しい答え」を暗記することではありません。

「社会人の志望理由の作り方」で整理した、

  • なぜ看護師なのか
  • なぜ今なのか
  • なぜその学校なのか
  • 将来どう働きたいのか

とについての自分の考えを、

質問に応じて、自分の言葉で説明できるようにすること

が基本です。

面接は志望理由書の暗唱ではない

志望理由書を提出している場合、

書いた文章をそのまま覚えて話せばよい

と思うかもしれません。

しかし、面接では質問の仕方が変わります。

例えば、志望理由書に、

社会人経験を通じて看護師をめざすようになった

と書いていても、面接では、

どのような経験がきっかけになったのですか

なぜその経験から看護師を考えたのですか

なぜ今、仕事を変えてまで看護を学ぼうと思ったのですか

と、別の角度から聞かれることがあります。

そのとき、文章を丸暗記しているだけでは対応しにくくなります。

大切なのは、

志望理由書の文章を覚えることではなく、その文章の中身を自分で説明できること

です。

STEP 1 提出した書類をもう一度読む

面接準備の最初に確認したいのは、自分が学校へ提出した書類です。

例えば、

  • 志望理由書
  • 自己推薦書
  • 経歴書
  • 出願書類に書いた志望動機

などです。

面接では、提出書類の内容をもとに質問されることがあります。

そこで、

自分は何を書いたのか

を読み直します。

特に、

  • なぜ看護師をめざすのか
  • なぜその学校なのか
  • これまでの経験
  • 将来について書いたこと

は、自分の言葉で補足説明できるようにしておきます。

提出した文章と面接で話す内容を一字一句同じにする必要はありません。

ただし、

書類と話していることが大きく食い違わないこと

は重要です。

STEP 2 まず準備する質問を整理する

看護学校の面接で聞かれる質問は学校や面接官によって異なります。

すべての質問を予測することはできません。

そこで、まずは自分の受験に関係する基本的な論点を整理します。

例えば、

  • なぜ看護師をめざすのですか
  • なぜ今、看護師をめざすのですか
  • なぜこの学校を志望したのですか
  • これまでどのような仕事をしてきましたか
  • これまでの経験をどのように生かしたいですか
  • 入学後、どのように学んでいきたいですか
  • 卒業後はどのように働きたいですか

などです。

これらは「必ず聞かれる質問」という意味ではありません。

自分の志望や進路を説明するために、あらかじめ考えておきたい論点

として整理します。

社会人だからこそ確認しておきたいこと

社会人受験者の場合、高校生とは異なる経歴があります。

そのため、自分のこれまでの進路について説明できるようにしておいた方がよいでしょう。

例えば、

  • なぜ現在の仕事から進路を変えるのか
  • なぜもっと早く看護師をめざさなかったのか
  • 仕事を辞める、または減らして進学するのか
  • 学校生活と家庭生活をどう両立するのか
  • 長い間勉強から離れていて、学習についていけるのか

といった点です。

ここで大切なのは、

面接官が必ずこう質問する、と決めつけないこと

です。

自分の経歴を見たときに、

説明が必要になりそうなことは何か

を考えておきます。

例えば、仕事を辞めて進学する予定なら、

なぜそこまでして進路を変えるのか

を自分自身で説明できる状態にしておく、ということです。

STEP 3 答えは文章ではなく「要点」で準備する

質問への答えを考えるとき、長い回答文を作って暗記する必要はありません。

例えば、

なぜ看護師をめざすのですか

という質問なら、

  • きっかけ
  • そこで感じたこと
  • 看護師を選んだ理由
  • 今の決意

といった要点を整理します。

文章を一字一句覚えてしまうと、

  • 言葉を一つ忘れて頭が真っ白になる
  • 質問が少し変わると答えられない
  • 暗唱のような話し方になる

ことがあります。

一方、要点が頭に入っていれば、

質問の表現が変わっても、その場に合わせて話しやすくなります。

目指すのは、

「この質問にはこの文章」と覚える状態ではなく、「このことなら自分で説明できる」状態

です。

長く話せばよいわけではない

面接では、自分をよく知ってもらおうとして、長く話し続けてしまうことがあります。

しかし、質問に対して必要以上に長く答えると、何を伝えたいのか分かりにくくなります。

例えば、

なぜこの学校を志望したのですか

と聞かれたなら、まず質問に対する答えを述べ、そのあとに理由を説明します。

結論 → 理由 → 必要なら具体例

くらいの流れを意識すると話しやすくなります。

ただし、すべての回答を同じ型に押し込める必要はありません。

大切なのは、

聞かれたことに答える

ことです。

志望理由は口頭でも説明できるようにする

「社会人の志望理由の作り方」でも確認したように、

人の役に立ちたい

という気持ちそのものに問題はありません。

しかし、面接で、

なぜ看護師なのですか

と聞かれて、

人の役に立ちたいからです

だけで終わると、

なぜ看護師なのか

が伝わりません。

そこで、

  • どのような経験があったのか
  • そこで何を感じたのか
  • なぜ看護という仕事につながったのか

まで説明できるようにします。

これは志望理由を新しく作り直すという意味ではありません。

「社会人の志望理由の作り方」で整理した内容を、

口頭でも説明できるようにする

ということです。

STEP 4 追加質問にも答えられるようにする

面接では、一つ答えると、そこから質問が続くことがあります。

例えば、

家族の入院がきっかけで看護師をめざしました。

と答えたとします。

すると、

そのとき、どのようなことが印象に残りましたか

その経験から、なぜ自分も看護師になりたいと思ったのですか

と聞かれるかもしれません。

そのため、最初の答えだけでなく、

「なぜ?」「具体的には?」ともう一段聞かれたときに説明できるか

を確認します。

自分で、

なぜそう思ったのだろう

具体的には何があったのだろう

と問い直してみるとよいでしょう。

答えにくいことも整理しておく

社会人受験では、自分としては聞かれたくないことや、説明しにくい経歴がある場合もあります。

例えば、

  • 転職回数が多い
  • 仕事を辞めた期間がある
  • 学校卒業後に長い空白期間がある
  • 過去の進路変更
  • 学業成績について説明しにくい点がある
  • 高校の欠席日数が多い

などです。

こうしたことについて、

必要以上によく見せようとする必要はありません。

一方で、聞かれたときに、

どう答えればよいか分からない

という状態のままにしない方がよいでしょう。

事実を整理し、

  • 何があったのか
  • 自分はどう受け止めているのか
  • 現在どう考えているのか

を簡潔に説明できるようにしておきます。

過去を取り繕うことより、

今の自分がその経験をどう捉えているか

を整理することが大切です。

分からない質問に無理に答えを作らない

面接では、準備していなかったことを聞かれることもあります。

そのとき、

何か立派なことを言わなければ

と焦って、よく分からないまま答えを作る必要はありません。

質問の意味が分からなければ、

質問の内容を確認する

こともできます。

また、すぐに答えが浮かばなければ、少し考えてから話しても構いません。

知識について聞かれ、本当に分からないのであれば、分かったふりをするより、

自分が分かる範囲で答える

方が自然です。

面接は、準備した文章を再生する試験ではありません。

STEP 5 声に出して練習する

頭の中で答えを考えることと、実際に声に出して答えることは違います。

文章ではまとまっているのに、話すと、

  • 話が長くなる
  • 同じことを繰り返す
  • 結論が後になる
  • 言葉が出てこない

ということがあります。

そこで、一度は声に出して練習します。

例えば、

なぜ看護師をめざすのですか

と質問されたつもりで、実際に答えてみます。

そのあと、

  • 質問に答えているか
  • 長すぎないか
  • 自分でも意味が分かるか
  • 暗唱になっていないか

を確認します。

自分の回答を録音して聞いてみる

一人で練習するなら、自分の回答をスマートフォンなどで録音する方法があります。

聞き直すと、

  • 思ったより早口だった
  • 「えー」「あの」が多かった
  • 一文が長かった
  • 同じ説明を繰り返していた

など、自分では気づかなかったことが分かります。

ただし、

話し方を完璧にすることが目的ではありません。

聞き取りやすく、自分の考えが伝わる状態を目指します。

誰かに質問してもらう

可能であれば、家族や知人などに質問してもらうのも有効です。

その場合、

この質問をしてください

と質問一覧を渡すだけでなく、

答えを聞いて、分かりにくいところがあれば聞き返してください

と頼むと、実際の面接に近くなります。

予想していなかった追加質問をされることで、

自分が本当に内容を理解しているか

を確認できます。

AIを面接練習の相手に使うこともできる

生成AIを、面接練習の補助として使うこともできます。

例えば、

  • 面接官役として質問してもらう
  • 自分の回答に追加質問をしてもらう
  • 回答の分かりにくいところを指摘してもらう
  • 長すぎる回答がないか確認してもらう

といった使い方です。

ただし、

AIが「この回答なら合格する」と判断することはできません。

また、AIが提案する回答をそのまま覚えると、「社会人の志望理由の作り方」で整理した自分自身の考えから離れてしまうことがあります。

AIは、

自分の考えを話す練習をする相手

として使う程度に考えるのがよいでしょう。

個人面接でも集団面接でも基本は同じ

学校によっては、個人面接だけでなく、複数の受験者が参加する形式が行われることもあります。

面接形式が違えば、進め方も異なります。

ただし基本は、

  • 質問を聞く
  • 聞かれたことに答える
  • 他の人が話しているときは聞く
  • 自分の考えを簡潔に伝える

ことです。

集団形式だからといって、

他の受験者より目立たなければならない

と考える必要はありません。

具体的な面接形式は学校によって異なるため、志望校が公表している情報があれば事前に確認します。

面接で「正解」を探しすぎない

面接対策をしていると、

この質問には何と答えれば正解なのか

と考えたくなります。

しかし、

看護師に向いている性格は何ですか

あなたの長所は何ですか

どのような看護師になりたいですか

といった質問には、誰にでも共通する一つの正解があるわけではありません。

重要なのは、

自分の答えを、自分の経験や考えとつなげて説明できること

です。

「面接官が喜びそうな答え」を探すことに集中すると、自分の言葉から離れていきます。

STEP 6 当日の基本を確認する

面接内容の準備だけでなく、当日のことも事前に確認します。

例えば、

  • 集合時刻
  • 会場
  • 持ち物
  • 服装
  • 移動時間

などです。

特に社会人は、仕事や家庭の予定と重なることもあります。

直前になって慌てないように、募集要項や受験票などを確認しておきます。

服装についても、

特別に目立つことより、面接の場にふさわしい清潔感のある服装

を基本に考えればよいでしょう。

細かなマナーを覚えることばかりに時間を使うより、まず自分の考えを説明できる準備を優先します。

【やってみましょう】面接前に10問だけ答えてみる

まずは次の質問に、声に出して答えてみてください。

Q1 なぜ看護師をめざすのですか。

Q2 なぜ今、看護師をめざすのですか。

Q3 なぜこの学校を志望したのですか。

Q4 これまでどのような仕事や経験をしてきましたか。

Q5 これまでの経験から何を学びましたか。

Q6 仕事や家庭と学校生活をどのように両立する予定ですか。

Q7 久しぶりの学習について、どのような準備をしていますか。

Q8 入学後、どのように学びたいですか。

Q9 卒業後、どのような看護師になりたいですか。

Q10 自分の考えをもう少し詳しく説明してください、と聞かれたら話せますか。

Q1~Q9は、学校によって実際に聞かれるかどうか分かりません。

Q10は特定の質問ではなく、

どの回答についても一段深く説明できるか

を確認するための問いです。

答えを文章で暗記するのではなく、要点を整理してから話してみてください。

面接準備は3段階で考える

社会人の看護学校面接は、次の3段階で準備すると整理しやすくなります。

1 話す中身を整理する

  • なぜ看護師なのか
  • なぜ今なのか
  • なぜその学校なのか
  • これまでの経験
  • 将来について

を整理します。

これは「社会人の志望理由の作り方」で行った作業です。

2 質問に応じて説明できるようにする

回答文を丸暗記するのではなく、

  • 要点で考える
  • 「なぜ」と聞かれても説明する
  • 具体例を出せる

状態にします。

3 実際に声に出して練習する

  • 一人で話す
  • 録音する
  • 誰かに質問してもらう
  • 必要ならAIを練習相手にする

などの方法で確認します。

この3段階を繰り返すことで、

「用意した質問には答えられる」状態から、「質問に応じて自分の考えを話せる」状態

へ近づいていきます。

面接は「自分の言葉で説明できる状態」を目指す

看護学校の面接対策で大切なのは、模範回答をたくさん覚えることではありません。

社会人として立派に見せることでもありません。

準備するのは、

  • 自分がなぜ看護師をめざすのか
  • なぜ今なのか
  • なぜその学校なのか
  • これまでの経験をどう捉えているのか
  • 入学後、卒業後をどう考えているのか

です。

それらを、

質問に応じて、自分の言葉で説明できる状態にする。

これが面接準備の基本です。

これで、社会人から看護学校を受験するために最初に確認しておきたい、

  • 進路
  • 学校選び
  • 入試
  • 受験勉強
  • 志望理由
  • 面接

までを一通り整理しました。

ここから先は、実際の受験に向けて、学費や生活との両立、募集要項、オープンキャンパス、過去問、科目別の勉強法などを、必要に応じて詳しく確認していきます。