看護学校への進学に必要なのは、学校へ支払う学費だけではありません。

教科書や教材、実習、通学などにも費用がかかります。進学をきっかけに一人暮らしを始める場合には、住居費や生活費も変わります。

社会人の場合は、これに加えて、仕事を減らしたり辞めたりすることで、現在より収入が減る可能性もあります。

そこでこのページでは、まず卒業までに実際に必要となる支出を整理し、そのうえで、社会人が確認しておきたい収入の変化についても考えます。

学校へ支払う学費そのものについては、こちらで整理しています。

「看護学校の学費はいくらかかる?」

学費以外にも必要な費用がある

看護学校に通うためには、入学金や授業料などの学校納付金以外にも、さまざまな費用が必要になります。

主なものは次のとおりです。

費用主な内容
教科書・教材費教科書、参考書、教材など
制服・実習着など実習着、靴など
実習関連費実習先への交通費、健康診断、予防接種など
通学費電車・バスなどの交通費
PC・タブレットなど学校指定・推奨の機器など
国家試験対策問題集、模擬試験など

何が必要になるか、どこまで学校納付金に含まれているかは学校によって異なります。

学校案内や募集要項などに「別途必要」と書かれている費用も確認しておきましょう。

また、病院など実際の看護の場で行う臨地実習では、普段とは違う場所へ通うことがあり、通常の通学費とは別に交通費が必要になる場合もあります。

生活費は「今より増える分」を考える

生活費については、少し考え方を分ける必要があります。

例えば、食費や通信費は、看護学校へ進学しなくても必要な支出です。

したがって、

在学中の生活費をすべて「看護学校へ通うための費用」として足す必要はありません。

考えたいのは、

現在の生活に比べて、進学によって新たに増える支出はどのくらいあるか

です。

例えば、

  • 一人暮らしを始める
  • 通学費が増える
  • 実習先への交通費が増える
  • 学習のためにPCなどを購入する

といった場合には、現在より支出が増えます。

自分の場合に何が増えるのかを、一つずつ確認していく方が現実的です。

自宅から通うか、一人暮らしをするかで必要額は大きく変わる

進学によって増える支出の中でも、住居の違いは大きな要素です。

自宅から通う場合

自宅から通えるのであれば、新たな家賃や引越し費用は通常必要ありません。

一方で、

  • 電車やバスの定期代
  • 長距離通学による交通費
  • 実習先への移動費

などが増えることがあります。

費用だけでなく、毎日無理なく通える距離かどうかも学校選びでは重要です。

一人暮らしを始める場合

学校の近くへ転居する場合には、

  • 家賃
  • 管理費
  • 水道・光熱費
  • 引越し費用
  • 敷金・礼金などの初期費用
  • 家具・家電

などを考える必要があります。

これらは地域による差が大きいため、「看護学生なら月○万円」と一律には考えられません。

候補校が決まってきたら、その地域で実際に生活する場合の費用を確認してみましょう。

3年課程と4年課程では在学期間も違う

3年課程の看護専門学校と4年制大学では、在学期間が1年違います。

その1年間にも、

  • 学校納付金
  • 教材費
  • 通学費
  • 進学によって増えた生活費

などがかかります。

ただし、

3年課程だから必ず総額が安いとは限りません。

学校によって納付金が異なり、自宅から通えるか、一人暮らしが必要かによっても総額は変わるからです。

学校の種類だけで判断せず、自分が実際に進学した場合の条件で比較することが大切です。

自分が実際に必要なお金を計算してみる

全国共通の「看護学校へ通う総額」を探すよりも、自分の条件で計算する方が役に立ちます。

まずは、

学校納付金
+ 学費以外の学校関連費
+ 通学費
+ 進学によって増える生活上の支出

を整理します。

例えば、次のような表を作ってみます。

実際に必要となる支出1年間3年間/4年間
学校納付金
教材・実習関連費
通学費
進学によって増える生活費
合計

ここで計算するのは、卒業までに実際に用意する必要があるお金です。

現在も支払っている生活費をすべて足すのではなく、進学によって新たに必要になる支出や増える支出を中心に考えると分かりやすくなります。

社会人は収入がどのくらい変わるかも確認する

社会人の場合、実際に必要となる支出とは別に、進学によって収入が減る可能性も確認しておく必要があります。

現在フルタイムで働いている人が、

  • 退職する
  • パート勤務に変える
  • 勤務日数を減らす

といった場合、入学前と同じ収入を得られるとは限りません。

この収入減は、学校へ支払う「費用」ではありません。

そのため、先ほど計算した支出額には足さず、家計への別の影響として考えます。

例えば、

現在の月間手取り収入
- 在学中に見込める月間収入
= 月間の収入減

として確認できます。

仮に現在より月5万円収入が減るとすれば、

  • 3年間では180万円
  • 4年間では240万円

の差になります。

これは「看護学生の平均的な収入減」という意味ではありません。

自分の収入が変わった場合に、在学期間全体でどの程度の影響になるかを見るための計算例です。

特に現在フルタイムで働いている人では、3〜4年間の収入の変化が家計に大きく影響する場合があります。

一方で、看護師になれば、その後の収入で必ずこの影響を取り戻せる、と考えることもできません。

進学を考えるときは、看護師をめざす理由とともに、卒業まで家計を維持できるかも確認しておく必要があります。

在学中にどの程度仕事を続けられるかを確認する

収入の変化を見積もるためには、そもそも看護学校に通いながら、どの程度仕事を続けられるのかを知る必要があります。

授業や実習の時間帯、アルバイトや就労についての考え方は学校によって異なります。

また、通常の授業期間には仕事を続けられても、実習期間には同じように働けない場合もあります。

そのため、在学中の収入を見込むときは、

「今と同じように働ける」と最初から決めてしまわないこと

が大切です。

働きながら看護学校に通うことがどの程度可能なのかは、次の記事で詳しく考えます。

→ 次に読む:「働きながら看護学校に通える?」

モデルケースで考える

最後に、考え方を具体的にするため、仮のケースで見てみます。

ここで示す金額は平均額ではなく、何を計算すればよいかを確認するための例です。

ケースA:自宅から3年課程へ通う

仮に、

  • 学校納付金:3年間で180万円
  • 教材・実習関連費:3年間で30万円
  • 通学費:月1万円

とします。

通学費は、

です。

1万円 × 36か月 = 36万円

したがって、実際に必要となる支出は、

180万円+30万円+36万円
246万円

となります。

これとは別に、仕事を減らすことで月5万円収入が減ると仮定すれば、

5万円 × 36か月
180万円の収入減

になります。

つまり、このケースでは、

実際に必要となる支出が約246万円あり、それとは別に、在学中の収入が約180万円減る可能性がある

と考えます。

ケースB:一人暮らしで4年課程へ通う

仮に、

  • 学校納付金:4年間で320万円
  • 教材・実習関連費:4年間で40万円
  • 一人暮らしによって現在より生活費が月7万円増える

とします。

生活費の増加は、

7万円 × 48か月
= 336万円

です。

したがって、実際に増える支出は、

320万円+40万円+336万円
696万円

となります。

さらに、仕事を減らすことで月8万円収入が減ると仮定すると、

8万円 × 48か月
384万円の収入減

になります。

この場合も、696万円と384万円を足して「看護学校に1,080万円かかる」と考えるわけではありません。

実際に必要となる支出と、収入の変化を分けて見ることがポイントです。

学校、住んでいる地域、家族構成、現在の仕事、在学中の働き方によって、結果は大きく変わります。

モデルケースの数字を自分に当てはめるのではなく、自分の志望校と現在の家計を使って計算してみてください。

進学による家計への影響を確認する

看護学校への進学を考えるときは、まず、

  • 学校へ支払うお金
  • 教材や実習、通学などに必要なお金
  • 進学によって新たに増える生活上の支出

を整理します。

社会人の場合は、それとは別に、

進学によって収入がどのくらい変わる可能性があるか

も確認します。

この二つを分けて考えることで、

卒業まで無理なく家計を維持できそうか

を、より現実的に考えられるようになります。

そして、収入の変化を考えるためには、看護学校に通いながら、そもそもどの程度仕事を続けられるのかを確認する必要があります。

→ 次に読む:「働きながら看護学校に通える?」

(制度・費用情報確認:2026年8月)