はじめまして。私は、経済的な理由もあり、奨学金制度について知りたいです。
もちろん、その分勉強しなければいけないだろうとは思いますが、詳しい申し込み方法、また、どのようなものなのか、どれくらいの援助があるのか、教えてください。おねがいしまーす。
(財)太田綜合病院附属看護専門学校のホームページには、「奨学金・修学資金の貸与制度」として次のように示してあります。
- 独立行政法人日本学生支援機構(高校在学時の予約必要)
- 福島県保健師等修学資金貸与制度(就職先が非常に限定される)
- 太田綜合病院修学資金貸与制度
学校によって多少異なりますが、看護学校で学ぶときに受けられる奨学金は
ここに示された3つの制度が主に利用されます。
では、代表的なこれら3つの制度を順番に見ていきましょう。
(1) 独立行政法人日本学生支援機構の奨学金制度
もっともポピュラーな奨学金制度です。
在学校を通して申し込みます。
採用方法は、予約採用と在学採用とに分かれます。
看護学校入学前(たとえば高校3年生の時)に申し込むのが予約採用
看護学校進学後の春に申し込むのが在学採用です。
また、奨学金の種類には、 無利息の第一種奨学金と
奨学金に利息(利率は年3%以下)をつけて
返済する第二種奨学金とがあります。
当然、前者の第一種奨学金の方がハードルは高いです。
奨学金の額は、入学年度や大学、短大、専門学校の別、
さらに、第一種か第二種かよって異なります。
参考までに、平成23年度入学者の例を示します。
大学の貸与月額 | ||||
国・公立 | 私立 | |||
第一種奨学金 | 自宅通学 | 自宅外通学 | 自宅通学 | 自宅外通学 |
45,000円 | 51,000円 | 54,000円 | 64,000円 | |
30,000円 | ||||
第二種奨学金 | 30,000円・50,000円・80,000円・100,000円・120,000円のいずれか |
短期大学の貸与月額 | ||||
国・公立 | 私立 | |||
第一種奨学金 | 自宅通学 | 自宅外通学 | 自宅通学 | 自宅外通学 |
45,000円 | 51,000円 | 53,000円 | 60,000円 | |
30,000円 | ||||
第二種奨学金 | 30,000円・50,000円・80,000円・100,000円・120,000円のいずれか |
専修学校(専門課程)の貸与月額 | ||||
国・公立 | 私立 | |||
第一種奨学金 | 自宅通学 | 自宅外通学 | 自宅通学 | 自宅外通学 |
45,000円 | 51,000円 | 53,000円 | 60,000円 | |
30,000円 | ||||
第二種奨学金 | 30,000円・50,000円・80,000円・100,000円・120,000円のいずれか |
詳細は、日本学生支援機構のホームページをご覧ください。
(2) 地方自治体の奨学金
地方自治体によっては看護職関連の就学者を対象とした奨学金制度があります。
これも在学する看護学校を通して申し込む場合が多いようです。
一定期間看護職して勤務すれば返済が免除される場合もあります。
例えば、青森県の場合は以下のようになっています。
青森県看護婦等修学資金貸与事業
県では、将来、県内で保健婦・助産婦・看護婦(士)または准看護婦(士)として働く意志があり、現在、県内の養成施設に在学している方に対して修学資金を貸与しています。
貸与された修学資金は、養成施設を卒業後、1年以内に看護職員の資格を取得し、直ちに県内の医療機関等に看護職員として勤務し、その引き続き勤務した期間が、貸与を受けた期間以上である場合、返還債務の全部または一部が免除されます。
修学資金の希望者は、県内の養成施設に送付された募集要領により養成施設の担当者に申し出てください。
青森県看護婦等修学資金(平成10年度)
学校の区分 | 月額奨学金 | |
看 護 婦 | 自治体立 民間立 |
32,000円 36,000円 |
准看護婦 | 自治体立 民間立 |
15,000円 21,000円 |
「http://www.pref.aomori.jp/welfare/service/ser-10.html」 から転載
(3)看護学校独自の奨学金
看護学校の設立者や系列病院の奨学金などがこれにあたります。学校独自の奨学金制度は主に私立の看護学校にあります。医療法人とか医師会とか私立医科大学附属とか各種団体が設立した看護学校です。
病院と提携した奨学金の場合は、卒業後一定期間(3年間くらいが多い)その病院で働くことを前提に貸与されます。したがって、看護学校を卒業後、引き続き保健婦や助産婦の学校に通うとか、大学に編入するとか、国家試験に不合格になるとかした場合は、一括で返済を迫られる場合もあります。
ですから、こうした奨学金を受ける場合は返済の条件をしっかり確認しておく必要があります。奨学金についてのいろいろな問題点は、田口正男さんの『看護婦さんになれる本』(講談社)のpp.112-113やpp.237-239に詳しく説明されています。
それによると、病院に一定期間勤めると返済免除となる奨学金を「呪縛金」と呼ぶ方もあると書いてあります。お金をかけずに看護婦の資格を取りたい人には魅力的な制度には違いないですが、「お礼奉公」に似た側面も見え隠れします。
奨学金の額もまちまちです。ですから、自分が受ける予定の学校については、その学校独自の奨学金制度があるかないか、あるとしたらどういう条件か、つまり
給付:返済の必要なし
貸与:返済の必要あり
条件付貸与:原則返済。しかし指定病院で一定期間働くと返済を免除
をしっかり確認すべきです。電話などで聞いても教えてくれるでしょう。
いずれにせよ、受験生の側で各奨学金の内容をしっかり確認し、納得して利用してください。募集要項には、その学校で利用できる奨学金が書いてありますから、早い目に募集要項を入手して調べてください。返済条件や金額がわからない場合は、遠慮せず看護学校に確認しましょう。お金に関わることです。しかも3年間あるいは4年間となると総額ではかなりの金額です。不明な点は納得いくまで説明を受けるくらいの慎重な態度が必要です。